Lunatic
体育倉庫に着くと、ドアが数センチほど開いていた。
その隙間から見えるものは、ただの闇だった。
普段なら、千葉も野田も中が暗いから見えないのだろうと思うことができただろうが、今はその闇がひたすらに怖かった。
「俺……ドア閉めたはず……」
それを見た野田が不思議そうに呟く。
千葉が小さく、何度も頷いた。
「誰かが興味本位で覗きに来たんじゃないの?」
小河は怯える二人に呆れながら言った。
どれだけほかの二人が笑っても、千葉と野田の顔から不安の色は消えない。
体育倉庫の雰囲気を知っている二人だけが、恐怖のようなものを感じている。
ほかの二人はとにかく笑い飛ばすが、誰も倉庫に近寄ろうとしない。
千葉はハードルを片手に恐る恐る隙間に手を入れ、ゆっくりとドアを開けていく。
「うわあ!」
中を覗きながら開けていた千葉は、完全に開けきる前に悲鳴を上げた。
持っていたハードルは重力に従って落ち、腰を抜かした。
「どうした!?」
彼の悲鳴にみな驚き、恐れていたはずの野田は勢いよくドアを開けた。
「なっ……」
言葉を失う。
残りの二人も中が見えると、笑顔が消えた。
そこには、腹部にナイフが刺さったまま仰向けに倒れる男がいた。
「まさか……宮村……?」
それは、この学校の数学教師だった。
「死んでる、のか……?」
口にしたことのないワードに戸惑いながら、野田は中に入り、宮村に手を伸ばす。
「触るな!」
それを、叫んで引き止めたのは一番に千葉たちをバカにしていた瀬畑だった。
その隙間から見えるものは、ただの闇だった。
普段なら、千葉も野田も中が暗いから見えないのだろうと思うことができただろうが、今はその闇がひたすらに怖かった。
「俺……ドア閉めたはず……」
それを見た野田が不思議そうに呟く。
千葉が小さく、何度も頷いた。
「誰かが興味本位で覗きに来たんじゃないの?」
小河は怯える二人に呆れながら言った。
どれだけほかの二人が笑っても、千葉と野田の顔から不安の色は消えない。
体育倉庫の雰囲気を知っている二人だけが、恐怖のようなものを感じている。
ほかの二人はとにかく笑い飛ばすが、誰も倉庫に近寄ろうとしない。
千葉はハードルを片手に恐る恐る隙間に手を入れ、ゆっくりとドアを開けていく。
「うわあ!」
中を覗きながら開けていた千葉は、完全に開けきる前に悲鳴を上げた。
持っていたハードルは重力に従って落ち、腰を抜かした。
「どうした!?」
彼の悲鳴にみな驚き、恐れていたはずの野田は勢いよくドアを開けた。
「なっ……」
言葉を失う。
残りの二人も中が見えると、笑顔が消えた。
そこには、腹部にナイフが刺さったまま仰向けに倒れる男がいた。
「まさか……宮村……?」
それは、この学校の数学教師だった。
「死んでる、のか……?」
口にしたことのないワードに戸惑いながら、野田は中に入り、宮村に手を伸ばす。
「触るな!」
それを、叫んで引き止めたのは一番に千葉たちをバカにしていた瀬畑だった。