俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
IntRoduCTioN〜mission7 この夜に駆る
ーーー人は、誰もが。
それぞれの思いを抱え。
待たぬ時の流れに引っ張られるように、ただ前を進んでいくしかない。
「…今宵は、月が見えないのですねぇ…」
新設ホテルの最上階にあるスイートルームから望む夜景。
しかし、浮かぶ夜空は厚く雲に覆われていた。
星の輝きどころか、月すら見えない。
そんな夜景を望み、そう呟く彼女の手には…数本の黒い羽根。
すると、後ろから「すみません」と、その羽根をそっと奪われる。
背後に気配を感じて振り向くと、そこには涼しい男性の笑顔が。
彼は、自分が呼んだ調査員である…陰陽師。
「あら。いつまでも持っていてすみません?」
「いえ。お手が汚れるといけないので」
そんな紳士的な態度で接する彼も、ふと外を見上げる。
「今宵は下弦の月だそうですよ?雲に隠れて見えませんが」
「まあ」
「そして、当日は…新月。新月の夜は『闇』の気が最も活性する日でして」
「…まあ」
「…だからと言って、我々が屈することはありませんけどね?」
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