俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
本音が垣間見えた瞬間であり、ヒヤッとさせられる。
しかし、おめでたく何の気にもしてないのが、この兄貴。
「麗華ありがとう!今日も君が一番綺麗だよ!」
「…ところでおばさま、おじさまは東京でお仕事だなんて、たいそう忙しいのですね…」
スルーされてる。
兄貴の歯が浮くような口説き文句、スルーされてる。
大体の女性がコロッと心持ってかれる、イケメン王子様兄貴のストレートな殺し文句、無視された。
しかし、兄貴はそれに傷付くどころか、ご機嫌最高潮で母さんと談笑をする麗華さんを見つめ続けている。
というか、もう麗華さんしか見えてない。
何なんだ、この相関図。
その様子を二歩ほど下がって見守っていると、「麗華さぁーん!」という子供の元気な声がして、俺たちは一斉にそっちに注目する。
そこには、小学生ぐらいの少女がいて、麗華さんの姿を見つけるなり、こっちに走ってやってきた。
「…ち、ちょっと、麻友!」
それを追いかけるのは、俺と同じくらいの年齢の女子。
二人ともフォーマルなよそ行きのワンピースを着ている。
このセレモニーの参列者だろうか。