俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
そんな恐縮しているおばさんに、麗華さんは首を横に振る。
「…いえ、当然の約束を果たしているだけですよ?…そう言えば絵麻さん、高校合格おめでとう?」
「あ、ありがとうございます!これで春から麗華さんと同じ高校に…!」
「あの高校で学んだことや出会った方々は、私にとってかけがえの無いものになりました。絵麻さんもきっと素晴らしい高校生活を送れると思いますよ?」
「は、はい!頑張りますっ!」
麗華さんとその姉妹たちのやり取りを、少し離れたところから見守る。
話の内容から、親戚ってワケでもなさそうだけど…。
「…きっと、あの事件の遺族の方々ね」
「え…」
傍で小声で呟く母さんの言葉に、反応してしまった。
母さんも俺同様、その姉妹を見つめている。
何かを思っているのか、神妙な面持ちで。
「あの事件って…」
「…ホテルの爆発の」
「え…」
「…亡くなった従業員の方は二児のシングルマザーだったって聞いたわ。今、お子さんたちはおばあさまと暮らしていて、小笠原さんが資金援助してるって。生活費やお子さんの学費まで」
「………」
あの爆破事件の、被害者遺族…。