俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
反射で下げていた頭を上げる…が。
(…ん?)
ぶつかった相手は急いでいたのか、俺の前からすでに立ち去っており、奥の階段室のドアを開けて、そのまま向こうへと消えていった。
しかし、すれ違い様に視界に飛び込んできたその顔は、知ってる人の顔で。
違和感を感じて、慌てて目で追った後ろ姿も、あの長身とガタイの良さで一目瞭然だ。
同時に、困惑する。
(…玲於奈?)
何故、ヤツがここにいる…?
この、関係者しかいないこの場に、何故もさ男?
まさか、実はどっかのセレブで招待客なのか?
なんて、推測を重ねるが。
わ、わからない…。
疑問でそのまま立ち尽くしていると、向こうから母さんが「伶士、どうしたのー!」と、こっちにやってくる。
ギョッとしてしまい、咄嗟に「い、いや、なんでもない」と答え、その場を離れて母さんのところへと向かった。
しかし、何故どうしてと疑問は消えず。
頭から離れてくれなかった。