俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

まさかの人物との遭遇に、彼が出て行ったドアの方に体を向けたまま、その場に立ち尽くしてしまう。

会場はすっかり暗転し、『大変長らくお待たせしております…』と、パーティー開始のアナウンスが響いていた。


名前…何だっけな。

会釈のみで、まともに会話をしたわけじゃないから、覚えていない。



だが、疑念がますます拡がる。



彼も、なぜここにいるんだ?

麗華さんの知り合いで、招待客なのかな。

…けど、これからパーティーが始まるという時に、会場を出て行ってしまった。

トイレ?



これは、単なる偶然?

…いやでも、こんな偶然あるだろうか。

同じ日に同じ場所で、いわゆる『術者』を二人も見かけるなんて。



胸騒ぎが…する。



「伶士、どうしたのですか?もう始まりますよ?」



声を掛けられて、我に返る。

傍にはいつの間にか舞絵がいた。

恐らく、俺がなかなか戻ってこないから探しに来たんだろう。

「ご、ごめん。知り合いがいたような気がして」

「まあ。それは乾杯が終わって御歓談の時間にお探ししたらいいですわ?まずは乾杯を」

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