俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「ち、ちょっとトイレ…」
「…あっ!」
そこにはすでになずなの姿は無く。
(…何っ!)
向こうの方角に目を移すと、すでに出口にそそくさと向かっているヤツの姿が。
…しまった!逃げられる!
っていうか、ここで逃げるなんて確信犯だぞ?!
本当にトイレか?!
それとも、何かやましい事でもあるのか!
「まっ…待てぇぇっ!」
直ぐ様、現場に急行。
駆け足で人混みをすり抜け、ヤツの後を追う。
逃がさん…逃がさん!
まるでドリブル突破のように障害をかわして急行した結果。
ヤツが出口のドアに手を掛けたところで、背後に到達。
「…こらっ!…待てぇぇっ!」
「…うぉぉっ!」
まさか追い付かれると思っていなかったのか、なずなは驚愕の変な雄叫びをあげる。
俺の出現に慌ててドアの外に出たが、もう遅い。
ヤツの左腕をガッチリ捕まえた。
「離せ!…離せ!」
会場の外に流れるように出てしまった俺達。
なずなは俺に掴まれた腕をぶんぶんと振って、逃れようとしている。