俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

だけど、それで「ふーん、そう」と納得するほど、俺は小ざっぱりしていない。

一度重なってしまった疑念は、こんなもんじゃ晴れない。



「…だから、仕事?」

「はぁ?」

「…おまえ、俺がこの間今日の予定聞いたら『仕事』って答えただろ?…これが仕事?」

「し…仕事でしょうが!い、一応」

「ふーん。関係業者として参加してるくせに、セレモニーに姿を見せてなかったよな。それに、うちの陰陽師として参加するんだったら、今日は親父は欠席で副社長と俺達が参加するって知ってたと思うんだけど?それに…」

「なっ。何さ」

「今日のセレモニーとパーティーの参加者リストに、おまえの名前、無かったんだけど?」

「………」

「橘建設からの参加者、少なくとも俺は把握してますが」

…この招待客リストとか、参加者リストとか。確認しないで、予期せぬ人と遭遇してしまったりと痛い目に合った経験がありましたので、それからはきちんと確認するようになってしまった。

まるでトラウマのように。新年会のトラウマ。


…なずな、おまえの名前を見落とすわけがない。
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