俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
だが、もう一歩また詰め寄る。
その隠された事情に踏み込むように。
「さっき、おまえんとこの社員のもさ…あの男も見かけた」
「………」
「あの、うちに結界を張りに来たっていう眼鏡の大学生もいたよ」
言葉を発する度に、どんどん詰め寄り。
なずなは後ろが無くなって、背中を壁にドンとぶつける。
壁まで追い詰めてしまうというカタチになってしまった。
「…おまえは、ここに『仕事』しに来たんたろ?…何の依頼だ?」
「はっ…!」
核心ど真ん中のセリフでなずなは顔をしかめ、横に逃れようとする。
…また、逃げられる!
と、思ったら咄嗟に右手が出て、その行く手を遮った。
掌が壁に当たり、バン!と音を鳴らす。
「ひっ!」
「…だから、逃げようとするな!質問に答えろ!」
「か、か、壁ドンか!お坊っちゃまのくせに!」
「…お坊っちゃまが壁ドンしちゃいけねえか!」
本当だ。
その気はなかったけど、壁ドンになってる。
ヤツを追い詰め、自分の体や手がヤツを捕らえる檻となっていた。