俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「舞絵、あまり大きな声を出すな!…俺の名前を大声で叫ぶな!」
この強烈娘にガタガタと騒がれたら、本気で公共の晒し者になる。
なので、まず舞絵に静かにしてもらわねばならない。
舞絵の前に出て、宥めようと試みる。
否応なしに『こっちにいらっしゃい』に応じるカタチとなってしまった。
しかし、舞絵の紛糾は続く。
今度は、俺と舞絵の攻防の始まり始まり。
「こ、これが騒がずにはいられますか!カトレア会の大事件ですよ!仲間が婦女暴行…!」
「いらぬ濡れ衣を着せるな!おまえが騒げば何でも大事件だ!頼むから静かにしてくれって!」
「伶士、あなた恥ずかしくないのですか!」
「…公衆の面前で糾弾されていることも恥ずかしいわ!」
「あなた、それで日本舞踊の愛しい姫君に顔向け出来るんですか?!誠意を見せなさい、誠意を!」
誠意?話が逸れてると思ったのは俺だけだろうか。
しかし、舞絵の一言で我に返る。
(…はっ!)
『日本舞踊の愛しい姫君』と言われて思い出す。
…この言い回し方もどうにかなりませんか。吹き出しそうになるだろ。