俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
しかし、こんなところで舞絵に説教されるとは思わなかった。
それがきっかけで冷静になってしまうのも、何だかな…と、自己嫌悪してしまう。
「…そういや」
冷静になった頭に、ふと過ったことが。
顔を上げてそう呟いた俺に、舞絵は「何ですか?」と下から覗き込まれる。
「…舞絵、何でここにいんの」
舞絵に目撃されなければ、なずなに逃げられることはなかったのに。
そんな舞絵は何故登場したのか、ふと疑問に思ってしまった。
すると、舞絵も少し忘れていたのか「あっ」と声をあげる。
「…そうでした、そうでした。…伶士?私、本日はここでお暇致します。帰る前に伶士に一言声をかけていこうかと探していたのですよ?」
「え?帰るの?」
「ええ。明日、土曜日ですが学校に行かねばならないので、早めに帰ろうと思いまして」
「へぇ…」
「私一人で帰るんですの。だから、正面までお見送りして下さいな?」
「え?桜谷先生は?」
「お父様は橘のおじさまが遅れて来るそうなので、ここで待っているようです」
「え?!親父来るの?!」
「ええ。先程千歳に着いたようですよ?」