俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「うん。終わったら連絡ちょうだい?最上階のラウンジ、良い夜景だと思う」
「行けるかわかんねえぞ?」
「大丈夫。勝手に待ってるから。無理かなと思ったら勝手に帰るし」
「…美味い酒飲みたいから、戻ってきたいんだけど。じゃ、頼むわ」
「うん」
そうして、兄貴が手を振って見送る中、竜堂はカフェから出て行った。
と、思ったら。
「あ…」と、立ち止まって振り返る。
「あ、弟よ」
…え?俺?
突然、声をかけられて戸惑いのあまりポカーンとする。
しかし、返事もしてないのにこの男は、その言葉の続きを俺に伝えた。
「会場でパーティー楽しんどけよ!」
「は…」
それだけを告げて、再び背中を見せて去ってしまった。
は…どういう意味?
パーティー楽しんどけって?
俺、そんなの全然好きじゃねぇ。楽しめねぇ。
っつーか、俺はおまえの弟じゃねえし。
弟よって、何を昔の歌人の作品みたいなセリフ吐いてる。
何なのアイツ。
首を傾げてみる。
しかし、それが竜堂からの隠された忠告だとは、この時は思いもしなかったのだった。
事はもう、すでに始まっていた。