俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
恐らく、『たくさん人間食わしてやるから着いてこい』みたいな文句を掲げられ、ホイホイ着いて来たんだろう。
肉体ばかりで脳みそも筋肉で出来ているような、単純な連中だ。
どれだけ連れて来た?
色鬼以外に仲間はいるのか?
…だなんていう予想を頭に巡らせながら、この地下階に単身乗り込んできた剣軌は考える。
そう、剣軌は単身でこの地下階に乗り込んできた。
ここに魔族がいることを知りながら。
一人で相対することも、わかっていながらも。
…それは、自らが立てた『作戦』のため。
目的、勝利条件は掲げたが。
実は、その裏に隠された目的がある。
それをも、達成するためだった。
その為なら、自分が多少危険な目に遭おうが構わない。
『…人間が一人で乗り込んでくるとは、我々も見くびられたものだな?』
先程、烈波で吹っ飛ばし転がした萌葱鬼が、そんなセリフを吐きながら、ヨロヨロと立ち上がっている。
やられたくせに、偉そうに。
この手の魔族を見ると、そんなヤツばかりで残念すぎてため息が出そうになる。