俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
すると、麗華さんが堰を切ったように早口で俺に事情を説明し始めた。
「伶士さん、陰陽師さんは私を庇って…!す、すみません、すみませんっ!」
「え?麗華さんを?!な、何で?」
「何故なのかわかりませんっ…私も何でこんなところに来たのか、何でこんなことにっ…あぁっ!」
「麗華、落ち着いて」
取り乱している麗華さんを宥めるように、兄貴は登場し、肩を抱き寄せていた。
どさくさ紛れに。
それに、麗華さん…何故ここに来たのかわからないって?
ここに用があって来たわけではない、ということ?何で?
そして、誰に…。
そう思って、ふと顔を上げた時。
(…あっ!)
視界に入ったその姿に声が出そうになる。
辺りには…細かく小さな黒い羽根が舞っていた。
少し離れたところに、もう一人。
人の大きさ以上の黒い翼を二つ、背から生やしている…人間。
「…あれ?…これはこれは、橘社長の御子息さま?」
認識されていると思うと、身構えてしまう。
警戒して、その姿を見据えた。