俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…その毒で、蝕め…!」
彼は、そんな結界に刺さった羽根に、命令する。
するとまた、彼の声に反応して、羽根は一斉に毛筋をピンと立てると同時に、どす黒い霧のようなモヤを発していた。
そのモヤはやがて、結界に刺さった羽軸から伝わり、少しずつ結界を包み込んでいった。
「…すぐ、というわけにはいかないね?でも、結界が崩れるのも時間の問題だ」
そう言って、彼は満足そうに眺めているが…。
(………)
空中に浮いたままの彼が、モニュメントのてっぺんにある大きな宝石の有り様を見つめている光景を、俺はただ見上げて眺めていた。
いったい何が起こっているんだろう、と頭の中の思考を巡らせながら。
すると、ジャケットの裾がくいっと弱々しく引っ張られる。
反射で振り向くと、ネイルを施したなずなの手がこっちに伸びていた。
「…な、なずなっ、大丈夫なのか?どうした!」
「…に、逃げろ…あのお嬢さん連れて」
「えっ…?」
逃げろ、だって…?