俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
そう言ったなずなの顔は歪んでいる。
変な汗もかいていて、呼吸も荒く、身体を小刻みに震わせていた。
腹も抱えていて、そこが痛みの根源なのか?
「それっ…」
そこを目にした時に、背筋がザワッとした。
思わず覗き込んでしまう。
なずなの腹には、あのカラスの羽根が二本、突き刺さっていた。
血も少しずつ滴り落ちている…!
「…このぐらいなら、大丈夫だ…。でも、私は今、ちょっとした不動縛をかけられて、しばらく、動けないっ…」
「ふ、不動縛?えっ?!」
「大丈夫、今、それを術で解いてる、最中…しばらくしたら、動ける…でも…それじゃ、間に合わないっ…」
なずなが掴んでいるジャケットの裾に、グッと力が入る。
「…だから、だから伶士、あのお嬢さんを…麗華嬢を連れて、中に逃げてくれっ…」
「に、逃げろだって?!」
「あ…アイツの狙いは、お嬢さんと、あの石っ…だからっ…」
黒い翼の彼の狙いが、麗華さんと…あの石?