俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…まあ?こっちとしては、契約にも何とか成功して、『紫の門』も開くことが出来たし、結果オーライだよ?たかが人間ひとり。…それに、ガセネタに踊らされた陰陽師さんたちを撒くことも出来て、総本山の重要人物であり、僕たちにとって邪魔な『神童』の一人を葬ることが出来た。結果、ラッキー」
いったい、何を言ってるんだ…?
人ひとりの命を失ったという事件を。
結果オーライ、ラッキー…?
直接事件に関与していない俺でも、その口振りは腸煮えくり返ってくる。
人ひとりの命を、たかが人間ひとりと、そんなに軽々しく…!
「…あなたには、わからないのですか?」
麗華さんの声が、更に低くなっている。
そこには、先程の取り乱した麗華さんは、もういない。
手を震わせた拳を抱えながらも、目を鋭くさせながらも、やけに落ち着いている。
それがまた、恐ろしく思えてしまった。
麗華さん、怒ってる…?
「たかが人間ひとりとはいえ、命を落としてしまったら、悲しむ人間は五万といるのですよ?彼女の娘二人、お母様、それに共に働いてきた私達だって、それを…!」