俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
兄貴、いらんところを突っ込んでしまった。
確かに、この気温でタンクトップ一枚はイカれてるとは思うけど。
悪の親玉に、出で立ちそんなもん関係ない…!
それに、その黒い翼はコスプレではない。
モノホンですって…!さっき飛んでるの見ただろ?!
…しかし、兄貴にもそんなもん関係なかったのである。
「それに、不運な事故?…違うでしょ。話聞いてたら、爆発起こしたのはお兄さんたちなんでしょ。従業員さんが爆発に巻き込まれてるの見てたんでしょ?それを助けようともしなかったんでしょ?」
「…それが、何?」
「それは立派な犯罪。殺しですよ。だから、不運な事故じゃない」
そう淡々と述べる兄貴は、手にしていた雪玉を再び、黒い翼の彼に向かって投げ付ける。
しかし、二撃目はひらりと回避された。
だが、兄貴はすかさず三撃目の雪玉も投げ付ける。
それも、難なく回避された。
「…頼智!何をやってるのですかっ!おやめなさい!」
さすがの麗華さんも泡食って慌てて立ち上がり、兄貴を制止しようと駆け寄る。
兄貴は「何で?」と首を傾げていた。
何も知らないって、本当に怖い。