俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
ムキになっているワケではなく、ただムッとした表情で淡々と物申しているのだが。
兄貴がこんなにも、誰かを相手取って言葉攻めをすることなんて無い…親父くらい?
なので、弟としてはかなり驚いているんだけど。
麗華さんに矛先を向けられて、余程腹が立ったのか。
「…あんた達には、わかるわけないよね?力を持ってるだの、持ってないくせに抗うだの持ってないヤツは愚かだの言って、威張り腐ってるし?」
兄貴の淡々とした言葉攻めは引き続き止まらない。
一方、彼は表情が無になっている。
「言いたいことは…それだけ?」
「いや、まだある」
「…何?」
「だから、力を持ってるけど何もしないで威張り腐っているのは、持っていないのと一緒、てこと。…力がある者の使命を、ご存知?」
「…へぇ?」
「力のある者の使命、それは力の無い者の力になることだよ。…ここにいる麗華みたいに」
そう言って、コロッと表情を変えて、麗華さんに笑い掛ける。
「あ…あなた、何を急に!」
突然名前を出された麗華さんは、ビックリした反動で思わず反論している。
しかし、兄貴は「そういうところ、尊敬してるよ?」と、笑い掛けたままだ。