俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「…言いたいことはそれだけ?」

「うん、もう終わり」

「…じゃあ、死ねよ」



その穏やかなではない言葉を吐いたと同時に、風がフワッと巻き起こる。

彼の黒い羽根がバサッと動き。

そこから飛び散った黒い羽根が、風に乗って舞い上がっていく。



「…久々に頭にきたよね?…久々にゴミクズ呼ばわりされてさ?」



笑顔のままなのに、兄貴の方を見ながら穏やかではないセリフを再び吐いている。

しかし、声が低くなっていることから…彼が怒っているのは間違いない。



「…お嬢様もろとも、口が聞けないようにしてあげるよ?…永遠にね?」



間違いない。

兄貴…彼を怒らせてしまった!

あわわ…!



彼が空に手を掲げると、舞い上がった羽根が風と共に渦を巻いて集まっていく。

集まってひとつとなり、それは黒い煙のようなものへと姿を変えていった。



「…いけない!…ダメだ!逃げろ!」



傍にいるなずながガクンと前に乗り出す。

しかし、痛みと術で体が思うように動かないのか、「うっ…」と呻いてまた蹲ってしまった。


< 236 / 528 >

この作品をシェア

pagetop