俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…言いたいことはそれだけ?」
「うん、もう終わり」
「…じゃあ、死ねよ」
その穏やかなではない言葉を吐いたと同時に、風がフワッと巻き起こる。
彼の黒い羽根がバサッと動き。
そこから飛び散った黒い羽根が、風に乗って舞い上がっていく。
「…久々に頭にきたよね?…久々にゴミクズ呼ばわりされてさ?」
笑顔のままなのに、兄貴の方を見ながら穏やかではないセリフを再び吐いている。
しかし、声が低くなっていることから…彼が怒っているのは間違いない。
「…お嬢様もろとも、口が聞けないようにしてあげるよ?…永遠にね?」
間違いない。
兄貴…彼を怒らせてしまった!
あわわ…!
彼が空に手を掲げると、舞い上がった羽根が風と共に渦を巻いて集まっていく。
集まってひとつとなり、それは黒い煙のようなものへと姿を変えていった。
「…いけない!…ダメだ!逃げろ!」
傍にいるなずながガクンと前に乗り出す。
しかし、痛みと術で体が思うように動かないのか、「うっ…」と呻いてまた蹲ってしまった。