俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
迫り来る大きな煙渦の攻撃に、麗華さんも慌てて兄貴の腕を引っ張っている。
「…麗華、こっち」
「はいっ?…え、ちょっと!」
すると、兄貴は麗華さんの腕を逆に引っ張って、自分の方にグッと引き寄せる。
迫り来る煙の渦に背を向け、彼女の頭と小さな身体を胸の中にしっかりと収めていた。
自分が盾に…?!
「…兄貴、何やってんだ!」
でももう、すぐそこまで迫っていて…逃げるにも間に合わない!
俺がそこから手を伸ばしたって、全然届かない。
嫌だ…嫌だ。
兄貴があんなヤツの手にかかって、傷付くのは。
ズタズタにされて、まさか死ぬかも…絶対、嫌だ!ああぁぁっ!
だけど、時間は待ってくれない。
黒い翼の彼が放った『無限の夢』という黒い煙の渦は、もう間もなく兄貴と麗華さんを襲う。
前に出て手を伸ばしても、『無限の夢』が巻き起こす爆風で、前に進めずその場に立ち尽くすしかない。
嫌だ。誰か。待って。
やめろ。助けて。お願い。
「…永遠に、眠り続けろ」
「…ああぁぁっ!」