俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
…しかし、その時。
伸ばしても届かない手の向こうに見たもの、とは。
「…何っ?」
あれだけ吹き荒れていた爆風が、急にピタッと停まる。
隙間に訪れた静寂の中で、黒い翼のヤツの疑問の声が聞こえた。
(え…?)
俺だって、その不可思議な現象に驚く。
呆然と立ち尽くすしかない。
あの煙の渦が、兄貴たちに衝突するその寸前。
その攻撃の真っ正面にあった、兄貴の背中に、白いモヤ…オーラが、フワリと渦を巻いて現れる。
風を起こして勢いを奪い、煙の渦を衝突寸前で停滞させていた。
すると、そこから更に光が増して。
二つの細く、白い手が伸びている。
まるで、背中に生えた白い翼のように。
(兄貴の背中から…?)
手が生えてきた…?
そして、その二つの手が煙の渦に触れると。
一瞬にして、それはフッと消え去り。
彼の攻撃、煙の渦は、跡形も無く。
無くなっていた。
「な、何だあれ…?」
蹲ったままのなずなも、目を見開いて呆然としている。
なずなにもわからないのか…?