俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
突然の謎の手に、俺だってかなり驚いたけど。
ほら、心臓だってこんなにバクバクし始めて。
あまりの拍動に、思わず胸に手を当ててしまう。
(………)
…でも、驚愕もしたけど。
この、高揚にも近い、心臓の鼓動は何だろう。
不安、疑問は頭に過ぎらず。
ただ、高ぶる感情だけが残って。
高ぶるその理由は、わからないけど…。
(………)
…俺は、あの手の謎を。
わかってる…?
気が付いたら、その白いオーラも謎の手も消え去っていて。
辺りには静寂が訪れていて。
パワーストーンの輝きだけが、俺たちを照らしていた。
「…ん?」
兄貴は、顔をひょこっと上げて、辺りをキョロキョロ見回している。
そして、俺たち同様立ち尽くしている、黒い翼の彼の方も見た。
「…あれ?…何かしてこなかったっけ?」
「………」
…え?
兄貴、気付いていないのか?
自分の背中から手が出てきた事を。