俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…伶士っ?!」
逃げる方向には爪先を向けず、なずなの方へと駆け出した。
自分の方へと駆け寄ってくる俺に、なずなは目を見開いているのがわかる。
「…伶士、何で来たんだ!」
「なずな、おまえも一緒に…!」
「は…無理だ!私は一緒に行けない!…行け!私の事は構わず!」
おもいっきり、拒否られる。
…でも、その理由はわかってる。
俺のことが嫌。
ではなく、なずなは俺だけでも助けようとしてるんだ。
自分のことなんて、構わずに。
(そんなの…)
そんなの…素直に応じて、一人で尻尾巻いて逃げてたまるか!
なずなも一緒に連れて逃れる。
それが出来なくては、なずなのことを好きだとか、告白の返事をよこせだとか。
言う資格なんて…ない。
「大丈夫だ!俺が抱えて連れて行くから!…ほら!」
手を差し出すが、なずなはブンブンと首を横に振っている。
「な、何言ってるんだ!私を抱えてなんて、間に合わない!私の事は置いて行け!」
「…大丈夫だ!」
「大丈夫じゃない!ダメだ!」