俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「…伶士っ?!」



逃げる方向には爪先を向けず、なずなの方へと駆け出した。

自分の方へと駆け寄ってくる俺に、なずなは目を見開いているのがわかる。



「…伶士、何で来たんだ!」

「なずな、おまえも一緒に…!」

「は…無理だ!私は一緒に行けない!…行け!私の事は構わず!」



おもいっきり、拒否られる。



…でも、その理由はわかってる。

俺のことが嫌。

ではなく、なずなは俺だけでも助けようとしてるんだ。

自分のことなんて、構わずに。



(そんなの…)



そんなの…素直に応じて、一人で尻尾巻いて逃げてたまるか!

なずなも一緒に連れて逃れる。



それが出来なくては、なずなのことを好きだとか、告白の返事をよこせだとか。

言う資格なんて…ない。



「大丈夫だ!俺が抱えて連れて行くから!…ほら!」

手を差し出すが、なずなはブンブンと首を横に振っている。

「な、何言ってるんだ!私を抱えてなんて、間に合わない!私の事は置いて行け!」

「…大丈夫だ!」

「大丈夫じゃない!ダメだ!」


< 244 / 528 >

この作品をシェア

pagetop