俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…いいから、来い!」
「わっ!…ちょっ!」
「…俺が連れて行く!」
それならば。
動けないのなら、俺がそのまま担ぎ上げて持って行くしかない。
そう考えて、なずなの体を丸ごと抱えようと、体に手を回して抱き上げた。
の、だけど…。
「お、重っ!」
なずなの体重が何故かズッシリ重たくなっている。
どれだけ力を入れて持ち上げても、微動だにしないのだ。
まるで、地に根を生やした銅像みたいな。
「あっ…お、おまえの体重が重いんじゃなくて!…な、何で動かないんだ!」
「わかってるよ…これは不動縛なんだ。…私は体を動かせなきゃ、その場からも動けないんだよ!」
え。そういう術なの?
自分の無知そのものに、更に焦りを感じさせられる。
だから、置いて逃げろと…?
…ならば、どうする?
この八方塞がりの窮地に立たされた状況で、それでも何か名案はないかと、頭をぐるぐると巡らせる。
助けたい。助けたいのに。
力の無い俺。
どうしていいか、わからない…!
ウダウダやってる暇はないのに!