俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
しかし、もたもたしている時間はないことに気付かされるのは、間もなく。
(…あっ!)
「…伶士!」
目の前にはすでに、巻き起こる風に乗せられた、黒い羽根の大群が押し寄せて来ていた。
やばっ…!
声を出す間もなく、反射で頭を伏せて屈む。
激しく吹き荒れるその音から、体を吹っ飛ばされることを覚悟した…が。
耳元で激しい衝突音がして、何故か黒い羽根の嵐が俺の体を避けて通り過ぎていった。
「へっ…?」
…え?無事?何で?
間違いなく当たると思っていたのに、拍子抜けしてしまう。
攻撃に巻き込まれなかったことを疑問に思って顔を上げると、目の前に現れた見慣れたものに、息を呑んで目を見開かせてしまった。
「………」
こ、これは…!
俺の前に立ちはだかり。
俺を護るように、盾となっている。
お馴染み、魔法陣が描かれたピンクのガラス。
霊気の盾、蓮華曼陀羅陣。
これのおかげで、あの黒い羽根の嵐を免れたのか?
なずなの霊気の盾、何で俺を…?