俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
そう言って、彼が指を差す方向は。
なずなの腹に刺さっている、二本の黒い羽根だった。
「不動縛は時間をかけて解術すれば解けるかもしれないけど。毒はどうかな…?」
毒…毒?!
何だって?!
…なずなは毒に侵されているっていうのか?
「なずなっ…!」
「あ、慌てるなっ…」
なずなは手をついてゆっくりと顔を上げている。
顔に汗をかいていて、顔面蒼白。
明らかにダメージが大きい事を物語っている。
「で、でも!」
「…大丈夫だ。総本山にいた時にいくらかの魔毒の耐性は、つけられてる…」
毒の耐性?総本山にいた時に?
小学生に何をやらせてるんだ、総本山とやらは。
本当に軍人?もしくは一国の王族の毒味係か?
…だなんてことは、さておいて。
すると、その話を聞いていた彼は「あははっ」と笑う。
「僕の鴆毒は強いよー?魔毒の耐性がついてても、治癒できる仲間が来るまで持つかな?…ホント。強靭なメンタルだよね?音宮のお嬢さん?」
「…うるせぇな」
なずなは、震える声で呟いて舌打ちする。