俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
しかし、次に彼が放った言葉で。
俺の頭は一気に混乱の渦へと落とされる。
何も知らないってことは。
本当に恐ろしい。
「いや、強靭なメンタルというよりも、執念なのかな?…だって、お嬢さん、彼のボディガードなんだもんね?」
「………」
「…そりゃあ、主は命に換えても護らなきゃいけないよね?不動縛で動けなかろうが、体が魔毒に侵されていようが?」
(…え?)
なずなが俺のボディガード?主?
何で、この彼がそれを?…って、それは昨年、鉢合わせてるから察してはいるか。
でも、それは…。
「ち、ちょっと待ってくれ」
そこで思わず俺が口を挟むと、「ん?」とあの不気味な笑みを向けられる。
「あの、なずなはもう俺のボディガードじゃない。あの依頼で契約は終わって…」
「………」
だから、そんな理由でなずなは俺を助けたんじゃない。と、言いたかった。
かと言って、ここでこんな風に彼に物申したところで、という話だけど。
変に間があって、シーンとしてしまったが。
彼はまた笑う。
「…あははっ。契約?…いやいや、命令、指令、でしょ?」