俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
俺の心の声を代弁する、女性の甲高い叫び声が、この屋上内に響いた。
「…何?」
彼が笑顔ながらも、不機嫌そうな声を出す。
そして、微動したその瞬間。
「…光流!…『結盾』!」
女性の高い声と共に現れたのは。
俺たちと彼を隔てるように、地から現れた白い光の壁。
ザザッとスピードを付けて勢い良く天へと延びる光の壁は、俺と彼を繋ぐ黒い羽根の帯をも斬り裂く。
少し引っ張られて転んでしまったが、体を拘束していた帯は、サラサラと砂になって消え去っていた。
た、助かった!
すると、タタッと足音が近付いてくる。
振り向くと、そこには黒いドレス姿の女性が、立っていた。
誰…とは言わずとも、わかる。
彼女、なずなと一緒に会場にいた…!
彼女はいきっているのか、鼻息を荒くしている。
美人なのに。
そして、視線は黒い翼の彼を捉えていた。
「…リグ・ヴェーダ、お久しぶりですっ!」
「…はぁ?」
え?挨拶?仲間?
…ではない。
彼の不機嫌そうな声を耳にしたら。
彼女は…彼の敵、だろう。
つまり、なずな、俺たちの味方。
「ま、ま、また仲間を傷付けて…ゆ、許しませんっ!」