俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

背中の方から、低くドスの効いた声が響いて、ゾッとさせられる。

今まで淡々と流暢に言葉を発していた、黒い翼の彼の声色が変わったことに違和感を持ちながら。

彼女が登場した途端、「おまえ」と口調も変わった…?



その様子を恐る恐ると振り返って確認する。



「…小笠原のお嬢様の夢に入り込んで、ここに誘き寄せたのに…」



彼は、俯いており、表情の如何程も見えない。



「…音宮のお嬢さんが、見事に庇ってくれて、一石二鳥となるはずだったのに?」



だが、そこで彼はバッと顔を上げる。



「…なのに、何でおまえが現れる?…『東方将軍・持国天』の神童?」



こっちに見せた表情とは。

先程の不気味な笑みを保ち続けていた彼とは違う。



それに、神童…彼女が?

この残念な感じの彼女が?!



「…おまえに、ここで会うとはな…!」



顔が般若のように歪み、目を釣り上げた、憎しみたっぷりの怨念の表情…!

何で?何故、彼女が現れた途端に態度がコロッと変わる?!



だが、憎しみたっぷりの表情を向けられた彼女はというと。



「…やややや!お、お、怒ってる!怒ってる!怒ってる!な、なずちゃん!」



…心当たりなし?


< 258 / 528 >

この作品をシェア

pagetop