俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
背中の方から、低くドスの効いた声が響いて、ゾッとさせられる。
今まで淡々と流暢に言葉を発していた、黒い翼の彼の声色が変わったことに違和感を持ちながら。
彼女が登場した途端、「おまえ」と口調も変わった…?
その様子を恐る恐ると振り返って確認する。
「…小笠原のお嬢様の夢に入り込んで、ここに誘き寄せたのに…」
彼は、俯いており、表情の如何程も見えない。
「…音宮のお嬢さんが、見事に庇ってくれて、一石二鳥となるはずだったのに?」
だが、そこで彼はバッと顔を上げる。
「…なのに、何でおまえが現れる?…『東方将軍・持国天』の神童?」
こっちに見せた表情とは。
先程の不気味な笑みを保ち続けていた彼とは違う。
それに、神童…彼女が?
この残念な感じの彼女が?!
「…おまえに、ここで会うとはな…!」
顔が般若のように歪み、目を釣り上げた、憎しみたっぷりの怨念の表情…!
何で?何故、彼女が現れた途端に態度がコロッと変わる?!
だが、憎しみたっぷりの表情を向けられた彼女はというと。
「…やややや!お、お、怒ってる!怒ってる!怒ってる!な、なずちゃん!」
…心当たりなし?