俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
憎しみで強張った彼の表情から、笑いが漏れる。
彼は再び翼をバサバサと動かして、ゆっくりと地に足を降ろした。
「…本当に、タイマンといこうか?」
そう言って、不気味な笑みを浮かべて低く身構える。
口角が上がるとバチッと音が鳴り、途端に彼の体を中心として、ドーム型のバリアが現れた。
彼を囲んで、護るように。
「…崩してやる」
そして、こっちに向かっておもむろに一歩踏み込む。
彼のドーム型バリアの端が、光の壁に擦りバチッと火花をあげた。
「…結界?力押ししてくる気?…桃李ちゃん!」
「むむっ。結界相撲ですか?!ま、負けませんよ!」
対する彼女は、握っていた拳を開いて「やー!」と、両腕をいっぱいに広げている。
彼女の掛け声に反応して、光の壁が姿を変える。
大きな壁から、彼と同じく半球のような形となった。
「ふんっ!」
彼女もまた、黒い翼の彼へと一歩踏み込む。
今度は彼女側の半球形結界の壁が相手を押し返し、またしてもバチバチッと火花が散った。