俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…小賢しいよ!」
押し返してきたことに苛立ちを感じたのか、黒い翼の彼は目付きを更に鋭くさせる。
また一歩踏み込み、ドーム型結界で彼女の半球を押し返す。
「…ううっ!」
反撃された彼女の体はぐらつくが、低く身構え直して、彼女もまた一歩踏み込んだ。
自分を囲う結界で、互いに押し合い。
擦り合わせ続けている結界の壁同士から、火花の音がバチバチッと鳴り続けて止まない。
お互い、一歩も退かず。
ぶつかり合い、相手を崩し倒そうとする。
…なるほど、結界相撲か。
「…人間ごときが!」
黒い翼の彼の方が、肩を振って一歩踏み込んだ。
火花が増大して散ったが、彼女は「ふんっ!」と堪えている。
美人がふんっ!て…。
「…あなたも人間だったんですよね?リグ・ヴェーダさん!」
そう投げ掛けて、ドカッと一歩踏み込み返す。
「なのに、なのに何で人間をごとき呼ばわりするんですか!」
ジリジリと押し合いながらも、彼は彼女の一言を鼻で笑い飛ばす。