俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…僕は力を得た。…おまえらと一緒にするな!」
「…一緒ですよ!…だって、大切な人を失って悲しいんでしょ?!」
お互い踏み込み合う。
距離が詰められたせいか、両者共に半球の形が歪みかかっていた。
「…だから、おまえらと一緒にするな!何の力も持たないが故に、心で、感情で相手をズタズタに傷付ける人間らと!」
「だからって、術力や暴力で人間を殺していいわけないじゃないですか!」
驚いた。
さっきまで挙動不審で残念だった彼女が、吃らずに反論している。
…恐らく、あんな彼女でも思うところはブレないんだ。
「ナーガは…彼女は尊かった、強かった!周りの人間に残酷な扱いを受けて、それでも自決せず、見返すために契約して力を得て…なのに、そんな彼女をおまえは!」
「言ってる意味がわかりません!傷付けられたからって、傷付け返すための力を得るんですか?!…それは違います!」
「…違う?!…おまえに何がわかる!」
「傷付け返すための力を得る発想なんて、わかりませんっ!」