俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
ふう、と彼女は息をつく。
「…もうこの世界に、ナーガさんも、あなたのマントラの仲間もいません。…『事変』は成立しない」
彼女のセリフに、三度鼻で笑う。
「…仲間がいないのなら、作るまでさ?それに過去を辿りたいわけじゃない。…ただ、この世界をめちゃくちゃに、無かったことにしたい」
「それは私達が許さない」
「…許しを乞う訳じゃない、勝手にやらせてもらうよ邪魔をするなぁぁっ!」
彼のドーム型結界が、感情と共に波打って膨らみ、彼女の結界をググッと前に押し付け進んだ。
反応が早く、彼女の結界も負けじと押し返している。
壁の境には火花が散りすぎて、ジリジリと焦げた臭いもしていた。
そんな中でも、彼女は今一度呼吸を整えている。
開いた口は、低く声色が変わっていた。
「…臨・兵・闘・者……」
すると、低い声色に反応して、半球体の結界はググッと大きさを増していく。
結果、彼のドーム型結界を押し返すカタチとなった。
だが、彼も負けてない。
「うおぉぉぉっ!」と雄叫びをあげると、結界自体が前に動いて行き、押し返していた。
また、押し合いの勝負…?!