俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
彼女の張った結界である、光のカーテンが更にも増して軋む音をミシミシとあげている。
カラスの羽根が纏った黒いオーラが、こっちに吹き込んできた。
「…下がって!…桃李、結界引っ込めろ!」
「は、は、は、はいっ!」
眼鏡の男性の指示にオドオドとした返事をして、彼女は「むんんんっ!」と、またガニ股で膝を曲げて踏ん張っている。
すると、光のカーテンがサッと徐々にその姿を消していく。
そして、それと入れ違いに眼鏡の彼が、俊敏に前に出た。
「…羅伽蛇(らがじゃ)!…『大腹胸行結界』!」
すると、飛び出す彼の前に…蛇の姿が過ぎった。
しかし、その姿は一瞬で別の物へと変わる。
紫に染められた、背の高さ以上あって、厚みがある透明の正方形の板。
まるで分厚いアクリル板だ。
そして、スッと右手を前に差し出す。
「…『紫水晶』」
そのアクリル板をトンと押した。
彼の指が触れると輝きを発しており、スイッチが入ったかのように、途端に大きなアクリル板はガーッと前進し始める。
車の速度ほどのスピードで進むアクリル板は、すでに消えている光のカーテンがあった場所をも突っ切って進み。
「…何っ!」