俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「…俺の結界にも羽根刺したの?」



結界に羽根が刺さっている有り様を指を差して、普通に尋ねている。

黒い翼の彼には「あははっ」と笑い返されていた。



「ごめんね?どうしても壊したいからさ。…この邪魔くさい『礎の石』を」

「そうなんだ。でも、こっちとしてもそれを黙って見てるわけにいかないんだよね」



あははと二人、ニコニコしながら笑い合っている。

だけど、見てるこっちは何故笑えないのかというと。

二人の間に、僅かながらピリピリとした殺気を感じる。

感情を表に出さない冷戦、ある意味こっちの方が怖い。



「…タイムリミットは、この結界が壊れるまで、か。時間…ないね?」



そう言い切ると同時に、眼鏡男性は黒い翼の彼の足元を指差す。

「…何?」

すると、すでに彼を中心に地に円が紫の閃光で描かれていており。

その閃光から、人の背丈以上ある、大きな六角柱状の紫色を帯びた水晶の結晶が、ドン!ドン!と音を立てて、次々と姿を現す。

閃光の跡を辿って登場した大きな紫水晶の柱は、あっという間に彼の身を囲んだ。

そこは、紫水晶の山となっている。

…閉じ込めたのか?!


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