俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「な、なずちゃんやボスは陰陽師なので、ある程度の毒に耐性はあり、ありますけど…」

「あるけど…何?」

「リグ・ヴェーダさんの『魔毒』は特殊なので、解毒出来てないと思いますぅ…だって、なずちゃんの体の中、まだ魔力がうようよしてるんで…」

「な…」



じゃあ、あいつは毒に侵されたまま飛び出していったのか?!



(嘘っ…)



そんな事実に絶句し、少しばかりの後悔に見舞われる。

毒が体に残っていても大丈夫なのか、戦えるのか。

それとも…無理しているのか。



俺は…それを、止めるべきだったのか。




どうやら、なずな再起動の様子は、敵さんにも把握されたらしい。

黒い翼の彼が、なずな達のいる方向を見ながら、笑い声をあげていた。




「…おや?不動縛解けたの?あははっ。…でも、僕の鴆毒を受けて戦えるの?」



しかし、返事はない。

なずなは、目の前の敵相手に臨戦体勢だ。



無視されたのが余程気に食わなかったのか、そんななずなに彼は捨て台詞を呟く。



「…この、怪物め」


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