俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「…俺達が、先の失敗を教訓にしていないとでも?しかも、同じ手法で来るとは舐められたもんだね」



ジリジリとした言葉攻めに、黒い翼の彼は、相槌すら打たなくなった。

菩提さんの方が全然上手のような雰囲気。

菩提さんも、落ち着いて話しているように見えるけど…このピリピリした感じは何だろう。



「…すべては、計算通りだよ。リグ・ヴェーダ」



菩提さんの攻めの姿勢が続く不敵なセリフに、彼は「は?」と、僅かだが顔を引き攣らせている。



「…魔界から戻ってきたおまえが、真っ先に狙うのは『紫の門』だとわかっていた。一人で逃げる事はしても、一人で戦うことは絶対しないチキンだ。魔界に待機させているお仲間を、一匹でも多くこっちに呼びたいだろうに」

「チキンだなんて失礼だね?」

「じゃあ何だと言うんだ?ヘタレとでも言っておこうか」

「大して変わらないじゃーん」

「黙れ。おまえと戯れ合っているつもりはない。…そして、この地を確実に狙うこともわかっていた。かつて、俺達を出し抜いて和羅さんを葬り勝利を得たという成功体験のある、このホテルをな?…何とも忌々しい、我々の最大の汚点だ」


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