俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
やれるもんならやってみろと、小馬鹿にした態度。
あからさまで挑発的な、腹立たしい行動。
とんでもない根性だ。
「…ほら。やってもいいよ?僕の命が欲しいんだろ?…やってごらんよ?」
「………」
「僕のことが憎いだろう?君の尊敬すべき未来の御館様も、尊敬する師匠をも奪ったこの僕を…さあ!」
彼のまるでフザけた対応に、怒りをおぼえていたが。
その不可解な行動はピシャリとあしらわれる。
「何をバカなこと言ってるんだ。命根性汚いおまえが、そう簡単に命を差し出すワケないだろう」
「命根性汚い?ひどいなー?」
「そんな汚い命を差し出しただけで、どうにかなると思うな。そんなものだけでは済まさない。…この、忌々しい男め」
そう簡単に挑発には乗らず、淡々としている菩提さんだが。
言葉のひとつひとつから、背筋をも凍らせるほどの憎悪の念が感じ取れる。
(忌々しい、男か…)
でも、敢えて『駆る』と表現したこの作戦。
恐らく菩提さんのしたいことは、ただ狩って命を奪るだけではない。
散々じっくりと追い詰めて、苦しめて、追い立て…。
まるで、生殺しのように。