俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
たった今。
既に動きの鈍っていた団十郎の隙を突いて、竜堂が綺麗なスピニングバックキックを、腹ど真ん中に命中させている。
モロにくらった団十郎は、だいぶ吹っ飛び、腹を押さえて藻搔いているよう。
そこで、また…黒い翼を嘔吐していた。
「…よし!翼吐いたぞ?!…桃李、今だ!さっさとしろ!」
「うっ、う、うんっ!」
竜堂に返事をしたのは、俺の背後霊となっていた残念女。
竜堂に「いつまで隠れてんだコラァァッ!」と怒鳴られて、「ひいぃぃっ!」と萎縮している。
「い、いってきますね」
「………」
そう言って、彼女は俺の背中からようやく離れ、たーっとその戦場へと赴く。
なぜ、俺に一声掛けて行ったんでしょうか。
「む、むむむむっ、むんっ!」
現場到着と共に、彼女はまた膝を曲げ腰を入れて踏ん張っている。
そして、「やー!」と手を天に掲げた。
それを見ている竜堂の引き攣った表情が何とも複雑だ。
「こ、こっ、琥珀の鉄・鉛白の音色っ…」