俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
すると、倒れ込んでいる団十郎の真上に、琥珀色のモヤモヤとしたオーラが出現した。
だがそれは、直ぐにいくつもの細い糸状に形を変える。
竪琴の弦のような細かい糸は、ズラリと並列して、標的を囲んだ。
まるで、弦で作られた檻の中にいるよう。
「け…乾闥婆『相殺』…【神剣の竪琴】」
声に反応するかのように、標的を囲った弦がカッと短く光る。
悲鳴を上げる間もなく、その姿は消え去っていた。
一瞬でいなくなった!
「…へ?」
だが、敵は居なくなったのに、竪琴の弦の形を成したオーラは消えず。
むしろブゥンと音を立て、勢いを増してレーザーのように這い、行き先を変えていた。
その方向とは、現在鼠鬼を締め上げている巨大蛇の下。
なずなと川越さんのいる方向?!
味方を狙ってる?!
「…は?嘘っ!」
「ああぁぁっ!ご、ご、ごめんなさいっ!そっちの魔族にも反応しちゃった!…逃げて下さい!」
「そ、そんなことある?!」
「…桃李ぃっ!力加減!…コラァァッ!」
味方ではなく…味方の捕らえている獲物を狙っているのか!
とんでもない根性だ!