俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
こんなに風が吹き荒れる中、彼の右手には、何故か風の影響を受けていない、パチパチと黒い電光が伴う灰色のモヤが出現した。
そして、彼はこっちをチラリと見る
目が合ってしまうと、ドキッとさせられてしまう。
何で、こっちを見た…?
「しまった!……全員、戻れ!」
菩提さんの強めの大声が響く中、その灰色のモヤは徐々に辺りに広がる。
まるで、濃霧のように。
「僕の勝ちだ!…『夢霧』…」
その声が響くと、突風はピタリと止んだ。
だが…。
(…え?)
風が止んだのを確認して、恐る恐る顔を上げたその周りは。
ただ、灰色の世界。
先程の視界とは一転していた。
辺りはやたらと静かで、あんなに人間の数がいたのに、人の声ひとつしない。
誰も…いない?
ここは…?
まるで、霧の中にいるようだ。
(………)
落ち着いて辺りを見回すと、自分の立っている足元は…ウッドデッキだ。
場所を移動したわけではなく、視界が奪われているだけか。
この灰色の…霧に。