俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…やあ、今晩は?」
その声を背後から感じて、気付いた時にはもう遅かった。
咄嗟に振り返ろうとした時には、すでに背後を取られ、カラスの羽根の鋭く尖った羽軸の先端を目の前に突き付けられる。
結界やなずなを襲った、同様のモノ…!
「…もう、あんな連中、相手にしてられない。…橘伶士くん、もう、僕と一緒に行こうか?」
穏やかな口調なのに、殺気の混ざった声。
わかる。俺の背後を取っているのは…黒い翼の彼だ。
背筋が凍る。
目の前にある、羽軸の鋭い先端が光っていて。
一歩でも動けば…刺される。
「い…行くって、どこに…」
「僕の仲間がいるところ。今日でだいぶやられたけど、まだいるからね…?」
「な、何で俺なんですか…?」
何で、度々この彼に狙われるんだ?
俺がいったい、何だっていうんだ?
なずなが、俺をボディガードしているからか?
…いや、その話、何なんだよ。
まだ契約続いてるとか、総本山の命令とか。
俺を護衛するのが、いったい何だっていうんだ?