俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

おまえ、いったい何してくれてんだ

★★★






黒い翼の彼による、右も左もわからないぐらいに濃い、灰色の霧の中で。



『…もう、あんな連中、相手にしてられない。…橘伶士くん、もう、僕と一緒に行こうか?』



突然として、黒い翼の彼に捕らえられる。

何故?俺がこんなにも狙われる?



だが、濃霧の中を掻き分けて、姿を現し、彼に飛び掛かってきた。

…ヤツが。



『…もう、誰もおまえに渡さない!リグ・ヴェーダ!』

『…なずなっ!』


まさに、一触即発の瞬間だった。





「…音宮のお嬢さん?!…くっ!どこまでもしつこいね!」

「おまえもしつこいよ!……放たれる風、さながら白刃の如く!」



彼の右手首と胸ぐらを掴んで離さないまま、なずなは叫ぶ。

すると、二人を囲むように風が唸り、次第に外側へと広がっていく。

風、風が吹き荒れてばかりだ!



だが、風が止んだと思ったら、その視界は一気に開けて、さっきの屋上の光景へと戻る。

霧が…一気に消し飛んだ?!



開けた視界の中、目の前では二人は激しく揉み合っている。

なずなは彼から手を離さぬまま。


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