俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…くっ!…君も正義の味方ぶってるのか?!自分の父親と一緒で!」
「はっ?…随分とそこにこだわるな?…とんだ勘違いだよ!」
逃れようと、彼は必死でその手を振り解こうとするが。
「…もしそうなら、私はとんだダーティーヒーローだな!…私はおまえを許さない!親父の意識を奪って、和羅さんの命を奪ったおまえを…私は、ただの復讐の鬼だ」
意地でもその手を離さないなずな。
「今は…リグ・ヴェーダ、ただおまえをブッ殺して親父の術を解く…ただそれだけだ!」
すると、なずなの手元からパチパチと火の粉が飛び散り出す。
黒い、火の粉が。
それはやがて、彼を掴んで離さない指先から、メラメラと炎が灯り始める。
黒い、炎…。
(あの、黒い炎は…)
前にも見たことがある。
《…死ぬ時は、おまえも道連れだ!》
《…『黒炎の華』…》
嫌な予感と胸騒ぎがする、『危険』な…。
だが、そんなただならぬ予感を感じたのは、俺だけではない。