俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
…それが、最後におじさんに会った日だったかもしれない。
今、ふと何故か、思い出してしまった。
何かの折に無意識に念じるように、思っていたこのセリフ。
実は、おじさんが言っていたことだった…。
「…失礼します、優さん」
病室のドアをそっと開ける。
一歩中に身を進めたところで、菩提さんは俺の方をチラッと見て、「どうぞ」と中に誘われた。
緊張のあまり、唾を飲み込んでから頷いてしまう。
心臓の鼓動が、更にうるさく騒ぎ出していた。
中に入ると、すぐ目の前はカーテンが引かれていた。
その向こうには、ダウンライトが一つ点いていて…恐らく、ベッドとその周辺を照らしているのだ。
電子音がピッピッと鳴り響き、シューシューと空気の抜けるような音、機械のモーター音も聞こえる。
今、病院にいるんだと、認識させられる音。
「…優さん、今日はお客さんを連れてきました」
菩提さんは、小声でカーテンの向こうへと話し掛けている。
しかし、返事はない。
だが、それでも菩提さんは話を続けている。