俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「………」


その言葉の続きを待っていたが、おじさんの顔を覗き込んだまま、菩提さんが急に「あははっ」と笑い出す。



「え…」

「ごめんごめん。昔思い出しちゃって」

「あ、そうですか…」

「きっと、彼らには『絶望』で、この世界が白と黒の世界にしか見えないんだと思う。斜め上から見てるんだ。俺もそうだった」

「え…?」

「…でも、俺は優さんと出逢って、色取り取りの世界を見せて貰った。色の鮮やかな目の前の世界はやっぱり綺麗だったよ。だから…」



グッと眼光が鋭くなる。

その表情の変化に緊張を走らせざるを得ない。



「…だから、俺達は必ずリグ・ヴェーダを殺る。師匠の尊厳を取り戻すために」

「………」



何とも言えない迫力があって、声を出せずにいた。



「殺るだなんて、また物騒なこと言ってごめん。でも…このまま即身成仏にされてたまるか。例えその向こうに『死』が待っているとしても、俺達は優さんのプライドを護る。…そう決めたんだ」



(俺達…か)



そこには、なずなも加わっているんだろうな…。


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