俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
その戦禍の最中、夢見最高峰の称号『夢殿』の名を受け継ぎ、大日本帝国の為に、予知夢を見続け戦勝へと導いていたのは。
美頼(みらい)という名の少女だった。
大日本帝国の明るい未来の為に、ただただ、夢を見続ける。
幼い頃から、自分自身を犠牲にしていることに何の疑問も持たずに。
だが、そんな最中に彼女は。
夢の中で…一人の男性と出会った。
自分の歳の同じくらいの青年。
地方財閥の御曹司。名を、橘喜朗と言う。
…え?橘?
美頼は、一目でその青年に恋に落ちる。
初めて見た、自分自身の未来だったのだ。
彼と共に、幸せでいる未来を。
そして、明くる日も明くる日も、美頼はその青年の事を想い焦がれる。
予知夢なんて、見ている場合じゃない。彼の夢を何度でも見たい。
大日本帝国の戦況なんて、構っている場合じゃない。
それはまるで、病のように。
…そして、とうとう。
美頼は、全てを投げ出した。
『夢殿』の責務も、大日本帝国の未来も。
僅か15の少女は、何もかも投げ出して失踪したのである。
彼との幸せな未来のために。
国の未来を、捨てた。