俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
やはり、なずなは。
俺のボディガードを密に続けていたのだ。
(………)
…こんなにも一緒にいたのに。
何で気付かなかったんだろう。
俺は…何してたんだ。
「…何で、なずななんですか」
「それは特殊な家柄のもと、やはり音宮の者に話が行くだろうね。父親の前例もあるし」
「…そうですか」
そうですか、とは言ったけど。
実はここ、全然納得していない。
よりによって、何でなずななんだ?
総本山の指令の下、まだこれからも…ボディガードを続けることになるんだろ?
そしたら、またあの時のように…。
背筋も凍るあの最悪の状況が、また頭に浮かぶ。
無力がために護られ、傷付く様を黙って見ているしかない自分を。
…俺に、出来ることはなかったのだろうか。
「…伶士くん」
ふと呼ばれ、顔を上げる。
何故か、じっと見つめられていた。
その眼差しは、強く。
何かを見透かされているかのよう。
「…君は、その力が欲しいと、願ってはいけない」