俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「な、なずなは?どうなった?!」
案じていた身の情報となれば、息子に牽制をかけている場合じゃない。
橘社長にとっても、なずなは娘同然なのだ。
「とりあえず意識が戻ったそうですね。このまましばらく入院させるようです」
「そ、そうか…」
「伶士くんは執事さんがまもなく迎えに来るそうです。お見送りしたらこっちに向かいます、と」
「そうか…」
安堵も束の間。
今度は別方向の心配が。
(話は終わった、ってことか…)
別に隠していたわけではないが。
悲しむとわかっているのに、敢えて知らせることもないだろう。
そう思って、今まで伝えてこなかった。
でも、今宵知ることになった。
どんな反応を示しただろうか。
かつて小さな頃は、優には特に懐いていたんだ。
悲しんで…いるだろうな。
「…そういや、橘社長。先程、道議会議員の桜谷先生とお会いしてましたよね?」
橘社長の向かいに座っている綾小路は、そう言って、手にしていたスマホをそっとテーブルに置く。
「あ、あぁ…話あるって言われてよ」